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●子育て支援W.Coコーディネーター養成講座A
■国の少子化対策
これまでの少子化対策は、エンゼルプラン(平成7〜11年度)、新エンゼルプラン(平成12〜16年度)などに基づき保育関係事業を中心に取り組まれてきました。働く親の支援として保育所整備は進みましたが、少子化には歯止めがかかりませんでした。そして、新たに「次世代育成支援対策推進法」が策定され、「地域での新たな支え合いと連帯」などの重点課題が盛り込まれたのが「子ども・子育て応援プラン」です。
「大切なのは地域の力。『子育てに価値がある』と、地域社会が思わないと少子化は止まらない」。保育の現場では、地域ネットワークづくりや、新しい支援のあり方の実践が始まっています。
■地域の子育ては地域の人材で
横浜市瀬谷区の駅前商店街で親子のひろば事業を始めたのはNPO法人W.Co「さくらんぼ」でした。利用が増え定着していく中で、利用者として参加していた母親たちがひろばの運営に参加するようになり、彼女らはW.Coの後押しで別にNPO法人「まんま」を立ち上げ、今では親子のひろばを運営する独立した組織に育っています。
また、もう1つのネットワークづくりとして、家庭の個別のニーズにきめ細やかに対応するための派遣保育の担い手をそれぞれの地域で、住民のボランティア参加でつくったことです。身近な地域でのサポーターは、「在宅で育児をする親が欲しいのは、子育てを代わってくれる人ではない。子どもの発達に不安を持つ親とともに子の成長を喜ぶ人がそばにいるというのが大切なこと」を実践し、地域での支え合いを形あるものとしてきています。
■子育て中の私たちが欲しかった支援〜
地域のボランティアとつくる
「働く親を支援するための保育園の数は増えたが、在宅で子育てする家庭への支援は置き去りになってはいないか?」横浜市港北区で活動するNPO法人「びーのびーの」がめざしているのは、常設の「親子の居場所」づくりです。用意されたプログラムがあるのではなく、思い思いの時間に来て自由に過ごし、「子育ての情報交換ができる」「困った時に相談する人がいる」「たくさんの人と出会えて仲間づくりができる」など、一人ひとりの居場所を提供しています。プログラムがあって何かを作ることも楽しいかもしれませんが、それを用意することでスタッフが時間や心を消耗するのでなく、それぞれの子育てを尊重し、その分「人」に丁寧に関わりたい…。その活動を支えているのは多くのボランティアで、退職した人を中心に組織されたグループと連携したり、高校生のボランティアを受け入れたり、いろいろな年齢層の参加がひろばの質を豊かにしています。
2つの実践例から、地域での子育て支援の輪が確実に広がってきていることを感じます。国の方針「地域での新たな支え合いと連帯」は、さらに多くの地域を動かしていくのでしょうか?(2006.11 清水)
●子育て支援W.Coコーディネーター養成講座@
福祉クラブは「第4次5ヵ年計画」の中で「子育て支援W.Co」設立方針を示し、今年度はその具体化に向け動き出しました。7月、3日間にわたり「子育て支援W.Coコーディネーター養成講座」が開催され、子育てを取り巻く社会状況、求められている支援の重要さについて認識を新たにしました。
■子育てがつらい母親、孤立する親子
30代の母親たちに行ったアンケートで「子どもを産み育てることを社会は評価していると思うか?」という問いに60%は「No」と答え、「Yes」と答えたのはわずか6・5%だったという数字があります。子育てって大切で、楽しい!と心から言えない現状を突きつけられた思いがします。その一方で、3歳までは母親が育てるものだという「3歳児神話」は、今でも根強く生きていて、小さな子を他人に預けることに母親は罪悪感を持っていると聞くと、ますます親子の孤立化を思わずにいられません。
■育てる側を支援する大切さ
関東学院大助教授大豆生田氏は、「大事なのは、子どもが『子どもらしく』『その子らしく』育つための子育ち支援。そして、育てる側の親(や家族)への支援も重要です。今、子育て中の親は、自分自身が小さい頃から核家族で育ち、日常的に多様な世代の中で育った経験が少ないので多くの場合、不安を抱えながら子育てをしています。支援者は親の話に耳を傾け、気持ちを受けとめ、親が応えて欲しいものは何なのかを探りながら、親の『子どもへの優しい気持ち』を支えることが大切です」と話されました。
■カナダの家族支援制度「ドロップイン」
カナダの家族支援制度の例は興味深いものです。子育てについての基本的な考え方は“nobody is perfect”。なるほど、子育ては誰もが試行錯誤しているのです。
この家族支援制度の1つに「ドロップイン」と呼ばれる子育て支援の集う場所があります。日本では親子の広場、子育てサロンなどと呼ばれているものです。親子がいつでも気軽に行ける場所、公園のようにただ遊びに行く所ではなく、ほっとできる、友人関係をつくれる場所、情報を得られる、相談できる場所なのです。スタッフやボランティア=支援者はパートナーであり、家族をつなげる役割を担っています。「ドロップイン」には「人」が介在し、気持ちのいい居場所をつくっているのです。
■子育て支援は必要不可欠!
そんなに支援が必要なの?という声が聞こえてきそうです。大豆生田先生の言葉、「誰が支援を必要としているかなんて誰にも分かりません」。子育てを一段落した世代の育児環境と今は違ってきています。引きこもりや虐待の報道が後を絶たない現代には、地域での支え合い・育ち合いのネットワークづくりが必要不可欠と強く感じました。(2006.10 清水)
●脱格差社会への道筋
−グローバル市民社会をつくるのは誰か−
第8回「参加型システム研究所」臨時総会後の記念講演は、竹中千春氏(明治学院大学教授)の講演でした。国際政治が専門の竹中氏の近著はずばり『世界はなぜ仲良くできないの? 暴力の連鎖を解くために』です。小さい子どもからよく聞かれる質問ですね。以下に竹中氏のお話をまとめてみました。
1990年代のグローバリゼーションの進行で、貧しくても豊かな暮らしというのは世界中から見られなくなってきています。優勝劣敗の自由主義的な市場経済によって世界は「安全で豊かな世界」と「危険で貧しい世界」への分裂を続けています。経済的な格差社会は広がってきています。日本に住む私たちは、おおよそ「安全で豊かな世界」の特権を享受していますが、世界では暴力の連鎖の構造、言いかえれば、攻撃と復讐の連鎖をもたらす社会、暴力的な反応を生み出すような「信念」を持つ人々が対立し、分裂する社会があります。グローバリゼーションの時代には、テロの被害も国境を越えました。
■方法は、寛容で非暴力的な市民社会の構築
安全な暮らしを実現するためには、人々の共生を許す、寛容で非暴力的な社会を広げていくしかありません。遠回りに見えても、そうした動きを支援する環境づくりが平和への近道です。少年が自爆する戦士にならなくてもよい社会、子どもらしく育つことができる社会。恨みと復讐という暴力の連鎖を解く鍵は、それを可能にする市民社会の構築にあります。私は都市のスラムや貧しい農村地域で暮らしの改善の努力をしているNGOや市民の姿をたくさん見てきました。その他にも戦争と内戦に荒廃した土地で、こうした努力が日々模索されています。
■非暴力・脱格差の社会をつくるのは一人ひとりの市民
「市民社会や国際社会の中で、対立や分断を越えて問題を捉える関係をつくれるだろうか」、「平和を築く非暴力的な信念と力を持つ市民として、自分たちの社会をつくれるだろうか」という問いかけが、参加者一人ひとりに、問われる講演でした。(2006.8 田之畑)
●「参加型福祉ケアマネジメント研究大会2005」
生活クラブ運動グループ福祉事業連合主催のケアマネジメント研究大会の今年のテーマは、「介護保険制度の見直しを契機とし、非営利・協同の力で、地域にたすけあいのコミュニティづくりを進める」です。
2月26日、新横浜のユウホールとスペースオルタを使って3つの分科会と全体会で報告と討議が行われました。 第1分科会は「介護保険制度の課題と参加型福祉の優位性を確認する」。第2分科会は「地域コミュニティ形成に向けたたすけあいのネットワークづくり」。第3分科会は「非営利・協同による福祉事業モデルや運営システム」がテーマ。この内第2分科会の内容を紹介します。
■第2分科会は「地域コミュニティ形成に向けたたすけあいのネットワークづくり」
●福祉クラブの理事の大谷多佳子さん「コミュニティ・オプティマム福祉サポーター〜福祉クラブの実践 ボランティアの組織化〜」
各W.Coで自然発生的に生まれてきたボランティアやアルバイトを整理し、W.Coにはなれないけれども社会貢献したい人たちを地域にたすけあいを広げる仲間と位置付けし、方針化したことや、W.Coの主体的な取り組みでたすけあいの裾野を広げ、共育も行っている報告がされました。
●湘南生活クラフ理事・西田美智子さん「生活支援ネットワークづくりの実践」
エッコロ共済の実例を紹介。制度があるだけでは活用されにくい部分を、エッコロ広場をつくり、よりたすけあいに結びつきやすくしている例やコミュニティ共生センターの取り組みが報告されました。
●横浜東部コミュニティ・オプティマム福祉マネジメントユニット代表の清水弘子さん(福祉クラブ理事)「子育て支援マップづくりを通して地域とネットワーク」
共通のテーマを見付けることから始まったローカルユニットの活動が地域の活動をつなげることで「子育て支援マップ」を作成し、地域の各種参加団体を得て完成フォーラムを行えたことなどが報告されました。
●特定非営利活動法人「一期一会」理事長の川上道子さん「地域福祉は地域住民の智恵と手でつくられる―日本中に広がれ・未来先取り愛甲原モデル―」
必要というニーズに沿って地域のメンバーで柔軟につくってきた愛甲原地域の活動の紹介です。デイ愛甲原を作るにあたっては、厚木のMOMOにノウハウの協力を得たことや今後は小規模多機能施設づくりをさらに進めていくことなどが報告されました。
コメンテーターのNPO法人ひと・まち社代表池田敦子さんから「自分たちの人生の経験を生かしてさまざまなことに取り組むことの大切さを感じた」との感想がありました。(2006.5 喜代永)
●介護保険制度の見直しと福祉クラブの姿勢
介護保険制度は2000年にスタートしました。それまで介護は家族の問題とされ、行政の行う福祉は措置・施しと言われていましたが、制度の発足により、社会化(介護は地域社会でするもの、そして利用者が選択するもの)され、介護の問題は画期的な前進を遂げました。しかし、制度改正の名のもと2006年からは、内容の変更が実施されることとなりました。
■見直しのポイント
今回大きく変わったのは2点、「中重度者への支援強化」と「予防重視型システムへの転換」です。
^中重度者への支援強化
在宅の軽度の方(要支援・介護度1の方)の支援を薄くし、その分、中重度の方(介護度2・3・4・5)の支援を厚くし、「夜間対応型訪問介護」、「訪問看護の短時間訪問の評価」や「施設において中重度の人手受け入れ加算」などを新設し支援を強化しています。また、難病や末期がんなどの専門的ケアの充実、今後増大すると見られる認知症への対応として認知症対応型デイサービスやグループホームの質、機能の充実に配慮しています。
_予防重視型システムへの転換
介護が必要とならないためには生活機能の低下の早期発見が大事として、デイサービスやデイケアでの運動器機能訓練、栄養士による栄養改善、歯科衛生士による口腔ケアなどをオプションとして新設しています。
■変わらぬ福祉クラブの姿勢
福祉クラブは「たすけあいは順番でお互いさま、できる時にできることを」をコンセプトとして、多種多様な福祉ニーズに多種多様なたすけあいをつくり、介護保険制度への参加の目的を@組合員の選択の幅を広げること、A公的福祉の領域の W.Coの働き方を拡げること、B介護保険制度に取り組むことで制度を「つくり・変える」こと、としました。
今、介護保険制度は大きく見直され、限られた財源のため、中重度者が優遇された分、軽度者の予算が削られます。また、本人の自立を妨げていると言われる訪問介護の生活支援の利用も制限される方向です。その結果、今まで利用していた介護保険での支援をコミオプケアで希望する利用者も多いと予測されます。介護保険制度の理念や目的を忘れず、利用者の立場で見直しの検証をすることも私たちの役割です。
制度が変わっても、住み慣れた地域、住み慣れた家で暮らし続けるためのサポートをする私たちの姿勢は変わりません。(2006.4 久米)
●─第7回ワーカーズ・コレクティブ全国会議─
〜ワーカーズ・コレクティブがリカレント(循環)型社会をつくる〜
2005年12月3・4日の両日、ワーカーズ・コレクティブ ネットワーク ジャパン(WNJ)の全国大会が行われました。会場となった横浜市開港記念会館は大正6年に建てれた石造りの重厚な建物で、館内は北海道から九州は福岡・熊本まで、全国各地から集まった400人を超える参加者の熱気でいっぱいになりました。
■5分科会を開く
初日は5つの分科会に分かれ、その実践を共有しました。
第1分科会のテーマは「ワーカーズ・コレクティブ法などの制定」。自分たちが出資し、雇われないで働き、相互扶助の精神で地域社会に貢献する…などのW.Coフ働き方を規定する法律の制定を目標にしてきた、今までの運動の到達点とこれからめざすものが検討されました。
第2分科会では「ワーカーズの働き方と働き方を支える仕組み」。
第3分科会は「障がい者と協働で働き場づくり」。
第4分科会は、「生協、企業、行政との協働と双務契約」。
第5分科会では「ワーカーズ・コレクティブから拡げるコミュニティ」として、地域のNPOと連携、ネットワークして地域づくりを実践している例が紹介されました。
どの分科会も活力にあふれ、30年にわたるW.Coフ活動が地域や社会に根ざしたものになっていることを実感しました。
■基調講演「リカレント型社会をつくる 新しい福祉と非営利セクター」
講師:北海道大学大学院教授の宮本太郎氏
W.Co自身が、若い層にワーカーが増えないことに悩みながら団体の運営を進める中、外からの視点としてリカレント型社会の論理、その担い手としてのW.Coフ在り様は、今までの悩みを払拭するものに思われました。
リカレント型社会には4つの特質があると言います。@自由に生き方(働き方)を選択できる社会 A狭義の就労(労働市場への参加)を越えた多様で自由な社会参加 B能力形成の機会が保障される社会 C保護への依存でない、努力することで安心・信頼が醸成される社会。そして、宮本氏はリカレント型社会に求められる3つの柔軟性をこう話しました。「働き場としての柔軟性、個々のニーズに対応できる柔軟性、組織の中の役割の柔軟性」。NEETと呼ばれる職に就かない・学校に属さない若年層が増え、団塊の世代が定年退職し地域に帰ってくる。また、精神的に不安定で企業に勤められない例も増えている。そんなさまざまな人たちがそれぞれの在り様で、参加することができる場が社会に求められています。
W.Coという柔軟な働き方・働き場が、「リカレント(循環)型社会をつくる」。その時代が着実にやって来ていることを感じました。(2006.3 清水)
●─食に関する研究フォーラム(報告)─
分科会3「福祉の視点から見た食と農」に参加
2005年11月14日、「食の不安と崩食をのりこえる」と題した食に関する研究フォーラムが開催されました。分科会3において、「多様な福祉ニーズの中に食を考える」をテーマに発表の機会を得ました。
福祉クラブの理念である地域で暮らし続けるためのたすけあいであること、たすけあいのニーズは多様であること、ニーズに添って多種多様なたすけあいのシステムを創ってきたことを食の視点からレポートしました。
14業種62団体のたすけあいの中にある「食」について報告しました。つまり、安心・安全な食材で元気に老いるを支える世話焼きW.Co、在宅生活の維持に食事作りで支援する家事介護W.Co、組合員の台所でつくる・届ける・ケアする食事サービスW.Co
、介助付きで食事のための外出支援をする移動サービスW.Co、安心・安全素材での手作りメニューをみんなで食べる楽しさも大きな意味を持つデイサービスW.Co、生活支援W.Coの365日3度の食事の提供「コア北鎌倉」等があります。このように多様なW.Coが「食」に関するニーズに対して一人ひとりの状態や希望に合わせ、きめ細かく対応しています。また、食のニーズに応えることは生命を支えるだけではなく、生きる歓びを届けることであり、何より介護予防でもあると考えます。多様なW.Coがたすけあいをして合理性や効率性になじまない福祉ニーズに対応していることは生活協同組合の社会的役割を果たしていることであり、地域福祉の向上に寄与しているとの考えを報告しました。
他の報告テーマは左記でした。
●「福祉がつくるサービスや物の地域 内循環」
栗木黛子(田園調布大学教授)
●「福祉の食事サービスへの取り組み」
古閑順子(NPO多摩食事サービスW.Co「かりん」)
●「耕して育つ〜挑戦する障害者の農園」
石田周一(農による福祉施設グリーン所長)
コーディネーターの浜田福祉クラブ専務は以下のように分科会をまとめ、フォーラムを終えました。
「福祉と食と農は相互に深く関係しています。高齢者にとっても子育て中のおかあさんにとっても暮らしやすい地域や環境は障害者にとっても望ましい地域であり、環境と言えます。効率と利益だけでは福祉は考えられません。また、福祉も食も農も地域密着型が良く、命と健康に深く関係しています。既に、これまでの食事サービスや農園の活動は運動が社会的存在になり、かつ地域コミュニティをつくっていると言えるのではないでしょうか」。(2006.1 田川)
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